えびの抜け殻

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えびげっちゅの親戚、キタホウネンエビ  その2

前回の更新から時間が経ってしまいました。ちょっとここのところ忙しかったのですが、疲れがたまっていたせいか、体を壊して2日も勤務を休むことになってしまいました。
もう若くないんだから、、、そんな台詞がどこからともなく聞こえてきますが、そんなことは気にせず行きましょう!

さてつづき。その2です。

僕がむつに住んでいたのは、2005年の3月までなのですが、ちょうどその1年前、東京から毎日新聞の記者が僕の隣の棟にご家族で転勤してこられました。
その記者の方のお名前は宮本さんといいます。当時僕が住んでいた家はいわゆるテラスハウスで、北日本の家によくある、玄関の風除室は共有で、それぞれの世帯の入口が左右に分かれて存在する、つまりつながった一つの家屋の左右で違う世帯が住んでいるという、そんな格好の住まいでした。ですから毎日顔を会わし挨拶もしますので、自然と仲良くなっていきます。僕がむつ研究所の研究員をしていることや、海と環境を相手にした仕事をしていることなどについても話したりしたことがありました。偶然にも宮本さんが得意とする分野も自然に関する分野で、これに関する取材を積極的にこなしておられたようでした。

さてこの宮本さん、僕らがキタホウネンエビを見つけたその日、偶然僕と帰宅時間が重なり、駐車場で顔を合わせました。そのとき、まだ興奮冷めやらぬ僕は、ふと「きょう面白い生き物見つけましたよ!」と口走ってしまったのです。
「えっ、それって何ですか?」と聞くので、今日あった話をお話ししたところ、「それはすごいことですよ!ぜひ取材させてください!!」というではありませんか!
「一応、大湊高校の生物の先生がこれから確認をしてくださるらしく、、、」というと、「大八木先生ですか?」とおっしゃるではありませんか。なんと、大八木先生をご存知!さすが自然系記者! 大八木先生が有名人なのか、宮本さんの情報網がすごいのかわかりませんが、とにかくこのお二方にはつながりがあるようでした。「じゃこれからその場所に案内してください」 えっ!これから?! もう薄暗くなって来ているのに?? 

本当に驚いたのがこのふたりの腰の軽さです。生物学者と新聞記者の興味がまさにひとつの方向に走り出した瞬間でした。それまであまり意識しておらず、全国で3番目のキタホウネンエビの生息地、ということにどれだけの価値があるのかもまだ認識していなかった僕でしたが、確かにそういわれると、、、もしかしたらスゴイことなのかもしれないなぁ、と少しずつ思うようになってきました。
このふたりの圧倒的な行動力に度肝を抜かれつつ、僕は宮本さんの駆る四駆の助手席に乗って、再び現場へと向かったのでした。

そんなこんなでトントン拍子にあっという間に話は進み、大八木先生とも面会し確かにキタホウネンエビであるという確証も頂き、それでは日を改めて取材を、ということになったのでした。
すっかりその気になってしまった僕は、もうなんだかすごい発見をした第一人者のように有頂天になっていたのでした。

後日、宮本さんによる毎日新聞の取材はむつ研究所の会議室で行なわれました。取材に応じたのは僕も含め、佐光さんと甕川さんの3人。そしてそれに大八木先生の学術的な解説が加わる、という記事構成。僕としては一刻もはやく掲載してほしかったのですが、大八木先生の提案で、融雪プールの水が枯れるまで掲載は待とう、そして採取場所は伏せよう、ということになりました。なぜなら、もし早くて詳細な記事を出すことによって、全国から野生生物マニアが押し寄せ、あっというまに乱獲されてしまう可能性も無いわけではないからです。なるほど、ナチュラリスト大八木先生らしい提案です。科学論文とは違い、なにも速報性だけが報道ではない、それを初めて知ったのがこのときの取材でした。

雪どけもおわり、融雪プールの水が北の大地に静かに吸収されてゆきます。そしてキタホウネンエビが耐久卵をつくって死滅した後の2004年5月7日、毎日新聞地方版、青森支社の記事として掲載されたのが以下の記事です。


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     (著作権は毎日新聞社に帰属します)

この記事が出た後に、佐光、甕川両氏から「木元目立ちすぎ〜!!」といじられました。それもそのはず。僕はただ、佐光さんと甕川さんの後についていって、ただ1発、アミを入れただけなのですから!僕はただその場に居合わせただけ、おいしいところだけ持ってったにすぎません。うむ、それは認めましょう。

しかし、そんなことよりももっと大切なことがあります!それぞれ得意分野の違う3人がむつに集い、そこでひとつの興味について新たなことをなし得たということ自体が、僕にとってとても貴重で、決して忘れることのできない大切な記憶となって残っています。僕らがこの北の大地に滞在していた時間も決して長くないですが、それよりもずっと短い時間に、産まれて生を全うする生物に出会えたということに、どこかしら運命的なものを感じさせずにはいられません。センチメンタルが過ぎるのかもしれませんが、この小さな命をより長く、永続的に生き続ける空間を確保することは、我々の役目ではないだろうかと。そしてひいては、この地球の生命すべてについて、同じことが言えるのではないだろうかと。
そんなことを考えるきっかけをくれたのが、このキタホウネンエビという、絶滅危惧種だったのです。


えびげっちゅというイベントは、この出来事の2年前にすでに始めていました。しかし、この発見があってから僕にとってえびげっちゅはこれまでよりももっとずっと深く、熱くなりました。そして、限られた空間の中でどれだけ長く維持してゆくことができるのかと考えるようになったのです。それが、いまの「えびげっちゅ」とつながっています。


来年でキタホウネンエビの全国3番目の生息地をみつけてちょうど10年になります。この節目になにか、おもしろいことをやりたいね、と話し始めています。皆でもう一度、あの場所を訪ねてみるのもいいかもしれません。あるいはキタホウネンエビシンポジウムをする?えびげっちゅ大会?!いろんな妄想をしています。
そのとき、キタホウネンエビはあのときと変わらぬ姿で僕たちを迎えてくれるでしょうか。

10回目の冬が、もうすぐそばまで来ています。



追伸:キタホウネンエビの素晴らしい動画と写真は、大八木先生のブログ「北のフィールドノート」でご覧に慣れます。右のお気に入りブログ に登録しています。ぜひご覧ください。学術的にも価値のあるもので素晴らしいです!
by kimoto1 | 2013-11-27 22:55 | えびげっちゅ

えびげっちゅの親戚、キタホウネンエビ その1

えびげっちゅは2001年にJAMSTECむつ研究所でスタートしました。かれこれ13年も続いており、いまやJAMSTECの一般公開には欠かせないイベントになっています。

実は、僕をこれだけえびげっちゅに執心させる大切な出来事が、むつ研究所に勤務しているときににあったのです。

それはいまから9年前の2004年のこと。
僕とその友人たちからなる水中生物の愛好家のメンバーで、なんとえびげっちゅの親戚を偶然発見したのです。

その名前は「キタホウネンエビ」。感じで書くと、北豊年蝦。春の雪解け水のなかだけに発生するプランクトンで、えびげっちゅである「アルテミア・サリーナ」に非常に近縁な、日本固有の種です。肉眼で見ただけではおそらくどちらなのかすぐには分からないと思います。
このキタホウネンエビは、1956年に北海道の石狩平野で最初に発見されました。その後、高校の生物の先生をしておられた大八木昭先生によって、青森県むつ市で全国2例目の発見がなされました。1979年のことです。

そして2004年、国内3例目となるキタホウネンエビの生息地を、25年ぶりに青森県下北郡東通村で発見したというわけです。
きっかけは、当時僕と一緒にむつ研究所の研究員であった佐光宏昭さんと、管理課の甕川(みかがわ)敏暢さんが、青森県レッドデータブックに掲載されている絶滅危惧種のキタホウネンエビを探しにいく、ということでした。ふたりとも、当時のむつ研きってのアウトドア派。佐光さんはトンボを中心とした生物全般に非常に詳しく、また甕川さんは山菜とキノコ取りのためなら、熊も恐れず山の中にどんどん入ってくような方です。僕は当時、キタホウネンエビなんて生き物はまったく知らなかったのですが、とりあえず面白そうだったのでいっしょについていくことにしたのです。

レッドデータブックは生物保護のため、産地についての詳細は記載されていません。そのため、どこに行けば会えるのかはまったく不明です。見つけるためには自分の足で根気よく探す必要があるのです。

僕らが向かった現場は、佐光さんが以前から気になっているという、公道からほど近い、雪のまだ残る融雪プール。4月末とはいえ、まだまだ寒い青森です。雪が深いときには閉鎖される道ですが、すでに除雪されているため問題なくアクセスできました。絶滅危惧種というくらいだから、こんなにアクセスが容易で道路に近いところにはまあいないだろう、と僕も含めた3人全員が思っていました。さっそく網を取り出して、一投めをやってみます。この辺りの水辺ではよく見かける淡水のヌカエビやスジエビはどうやらまだいないようだなぁ、水温が冷たすぎるかな、、、ん?  これは何だ?見慣れない生き物だ。エビみたいだけど随分違う。

水中生物に詳しい佐光さんに声をかけて、見てもらうことにしました。佐光さんは網のなかのそれを見るなり、「うおお、いた!!!!」
へ? だって、これ一投めだよ。探し始めて1分も経ってないよ?まさかこんなありふれたところにいるわけないでしょ?  
でも、確かに持ってきたレッドデータブックの写真と同じに見えます。。。。。。 
え、ええ〜っ!!!!!!

さっそく1979年の発見をされた、大八木先生(当時は大湊高校の生物の先生)ご本人に連絡を取ることにしました。電話で事情を話します。するとさっそくこれから確認をしに行くというではありませんか。もう夕方で暗くなるというのに、なんという行動力!
そしてさらにこの話は、読売新聞から取材を受けて新聞に掲載されるという、意外な展開になっていくのです。


続く!!
by kimoto1 | 2013-11-10 16:28 | えびげっちゅ

JAMSTECのえびげっちゅ

こんにちは! みなさんのところのえびげっちゅはお元気ですか??

さて、前にご紹介すると言っておきながら、ずいぶんご報告が遅れてしまい、申し訳ありません。
JAMSTECで飼育中のえびげっちゅです。
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夜にiPod touchで撮影しましたが意外とよく写っていました。横浜研究所でうまれた子たちです。来週でちょうどひと月になります。
数はずいぶん減りましたが、いまちょうどこのくらいの大きさ、形になっています。ここまでくると峠を越した感じですので、なんとか絶滅はまぬがれるのではないかな?と思いますが、やはり温度の急変は大敵ですので、気をつけなくちゃいけません。窓から直接冷気が来ないように、分厚いファイルを窓と水槽の間に挟み込んで、応急的に保温に努めています。

水槽の縁部分に、おなじみの濃い緑色の藻が発生してきました。例のアイツです。藍藻類。
これが出始めると、我々のところのえびげっちゅはうまくいきます。

がんばって冬越ししてくれることを祈っています。
by kimoto1 | 2013-11-05 19:44 | えびげっちゅ

えびげっちゅの模型

これ、こちらでご紹介していなかったように思います。
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すごいでしょう?!ほんものみたい!!
JAMSTECの経理課のSさんがお作りになったものです。
すごくよくできています!!そっくりです!! 脚のあの、わしゃわしゃした感じがとってもよく表現されてます。感動ものです!!
なんでも、制作時間10分だとか。横浜研のときに皆さんにお見せしたかったのですが、北極帰りでうっかり忘れておりました。これ、綿でできてるようですよ?

それにしても、いろんな才能をお持ちの方がたくさんいらっしゃいますね!!
来年の横須賀での一般公開までに、量産して飾ることができればとおもいます。
ぜひ作り方を教えてもらわなきゃ。といいながら、もう数ヶ月経ってしまいました。。。

皆さんも、ぜひ、いかがでしょうか? みんなでえびげっちゅを作ってみる、っていうイベントも面白いかもしれませんね?!
by kimoto1 | 2013-11-03 01:28 | えびげっちゅ
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アルテミア(ブラインシュリンプ, シーモンキー)飼育について考察するブログ。みんなで楽しく育てよう!


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