えびの抜け殻

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アルテミアの飼育について

おそらくこのページにたどり着く方は,アルテミア(「えびげっちゅ」でつかまえたもの)の飼育についての情報を得る事が目的の方が多いのでは,と想像します.そこで,私が足掛け9年間にわたるアルテミア飼育から得た経験をもとに,以下にまとめておくことにいたしました.JAMSTECの一般公開でも必ず尋ねられることですので,もし飼育方法に迷ったらご参考にしていただければと思っています.
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飼育のコツ

アルテミアを成長させるにはどうしたらいいか?
私たちも最初は簡単だと思っていました.しかしやってみると意外と育たない.そのような経験をお持ちの方は多数いらっしゃると思います.
アルテミアをうまく成長させて卵を産ませ,次の世代につなげてゆくにはどうしたらよいか?それはズバリ、「なにもしない」ことです!私たちは過去8年間ほど、この「えびげっちゅ!」というイベントを通して、皆さんがアルテミアを維持するにはどうするのが一番よいのか、試行錯誤してきました.対照実験の結果、あれこれいじって手を加えるよりも、いっさい何もしない方が生存率が高いという結論を得ました.水換えもしなければ餌もあげません.ただ蒸発で減った水を足すだけです.彼らは塩水中に発生するバクテリアや藻類など、目には見えない生物を食べて成長するようです.ただし、より成功率の高い、安定した飼育を継続させるにはコツがあります。それは、次のようなものです.

1). なるべく多くの水量で飼育する.これによって水槽内の環境変化が緩やかになり,それはアルテミアへのダメージを少なくします.1〜2リットル程度の水量が扱いやすいでしょう.海水より少し薄い塩水で飼育します.塩分は2〜3パーセントですが,塩分の耐性は高いため,それほど厳密にする必要はありません.ただし,淡水はだめです. 

2). 日光のあたる明るい場所に置き,ふたは解放する.これは植物プランクトンを発生させるためです.暗いところではプランクトンが育ちにくくなります.アルテミアの温度耐性の幅は広く,多少の水温上昇では死にません.また塩分は水の蒸発で徐々に濃くなります(塩分は蒸発しません)ので,必ず淡水(水道水)を足してあげるようにしてください.そのまま水道水でもよいですが,くみ置きの水か,カルキ除去をした水が安心です.

3). 塩水中に発生する沈殿物(フンや脱皮殻)はなるべく取り除かない.鑑賞のために飼うのであれば,見た目は確かに重要です.しかし,私の経験では飼育水をキレイにしすぎるとたいてい成功しません.彼らの脱皮殻はおそらくエサとなる微生物の栄養源になっているのでしょう.

4).もしかしたらこれがもっとも成功のコツかもしれません.とにかくたくさんの数を飼うこと!スペースの限られた環境では,水量に応じた適度な数を飼育するというのがアクアリウムの常識ですが,アルテミアの場合,成長する個体の歩留まりが非常に悪いので,最初に数多くの個体を飼育すると成功確率が上がります.「これってちょっと多すぎよね?!」というくらいがちょうど良いかもしれません.そのまま飼育を続けてゆくと,どんどん弱い個体は死にますが,そのなかで環境に耐える個体だけが生き残り,水量に応じた適当な数に落ち着きます.

考えてみると,結局我々は,アルテミアが住める環境になるのを,彼ら自身が作り上げて行く過程をただながめていることしかできないのかもしれませんね...

さて,私は上記のような方法で,1リットルの水量(塩分2〜3パーセント)で日当りのよい場所に置いて約1年間、複数世代のアルテミアを維持することに成功しました.やったことは水道水を足しただけです。餌は入れていません.アルテミアは一度環境になじめばその驚くべき生命力を示してくれるとおもいます.この時のようすは,YouYubeにムービーを置きましたので,ご覧になってみてください.→こちら
アルテミアの卵や塩水は熱帯魚屋さんで普通に購入できますので、もし失敗した場合は購入して再度チャレンジしてみるのもおもしろいです.商品名としてはテトラという会社から出ている「ブラインシュリンプエッグス」というものがもっともお手軽です.

海洋研究開発機構の研究者は、このアルテミアを、海洋の動物プランクトンである浮遊性有孔虫や、クラゲ維持するためのえさにしています。えさにするにはちょっとかわいそうですが、とても栄養価の高い便利な生き物なのです。 
しかし、このアルテミア自身も、単独で育ててみるととてもおもしろい生き物です.オスとメスがつがいを作ると,縦につながって泳ぐようになりますし,なんといっても成体の泳ぐ姿は優雅そのものです.交尾前には色も変わりますし,とにかく観察しがいのある生き物です。ぜひご家庭で飼育して,生命の面白さと不思議さを楽しんでみてください.

最後になりますが,「飼育に王道なし」といえるとおもいます.我々もつねに試行錯誤を繰り返しながら生物の飼育実験をしています.アルテミアも同じで,「えびげっちゅ」でお持ち帰りになったもとの水は最初は同じ水ですが,それぞれのご家庭の飼育環境で変わってゆきます.必ずしもこちらでご紹介することがそのまま当てはまるとは限りません.皆さんのご家庭の環境に合わせて,独自の飼育方法を発見してみてください.それこそが生物飼育のおもしろさであり,奥の深さなんじゃないかな〜っと思います.そして,うまくいく方法をみつけたら,ぜひ私たちに教えていただけるとうれしいです.
by kimoto1 | 2011-02-20 11:49 | アルテミア飼育方法
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アルテミア(ブラインシュリンプ, シーモンキー)飼育について考察するブログ。みんなで楽しく育てよう!


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